この季節は「生きること」を考えさせられる
多いように感じる





お盆期間は
亡き人に思いを馳せたり




夏の風物詩である
蝉なんかは儚く一週間でその生涯を閉じる





そんな蝉のお話だけれど





夜に散歩に出かけることが好きで
あの日もいつも通りに散歩に出かけていたのだけれど





いつもの道に
見慣れない影が見えた気がして



ふと目を足元に視線を落としたら
覚束ない足取りで





羽化する場所へと足を運んでいる
蝉の幼子が
ゆっくりと歩いている姿があったのね


 
がんばれ…。
って心の中で呟いた瞬間




前から来た自転車に
ぐしゃり。




あっ。
って思ったのと同時に
完全に息を引き取ってしまった
幼い蝉の子。




これから短くも懸命な生涯を
送らんと前に進んでいたのに。




けれど、お前
その瞬間の姿は、私の脳に鮮烈に焼きついて



その一瞬の苦しみと共に
散らしたお前の生涯は


その時世界の中で一番美しいと
心底思ったの。



きっとどの子も
精一杯生きているのだろうけれど



人からこんなにも美しい一生だったと
思われた蝉の子は
どこを探しても
きっとお前だけ。



私にそう思われた蝉の子も
お前だけなんだよ。



だから、お前は
その瞬間世界で一番幸せな蝉の子だったでしょう?




だって、一瞬とは言えども
その瞬間、私はお前を愛したのだから。





懸命に生きようと
命を燃やしたお前は本当に美しい。




これはきっと人の子でも一緒ね。


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